月サイクル
螺旋
月は常に表情を変える
触れたと思えば、また別の顔を見せる
それは終わることのない探求

本章で扱う月サイクルは、
前章までの構造提示とは性質が異なる。
三層世界構造や19年周期が
比較的安定した長期構造の骨格であるのに対し、
月サイクルはより細部に作用する調律に属する。
それは単独で完結する周期ではなく、
年構造との接続によって現れ方を変える可変的な力である。
ゆえに固定的構造として整理することは難しい。
月の変化の作用は単独の意味として固定されるものではなく、
接続する位置によって現れ方が変化する。
以上を本章の前提とする。
ここから、月相がいかなる原理に基づいて作用するのかを示す。

月は陽光と虚空のバランサー
世界の根本は虚空である。
そこに太陽が生じ、虚空と陽光という二極が成立する。
さらに地球が存在することで、私たちはその関係の中に位置づけられる。
虚空のみであれば、それは死の世界である。
陽光が差し込むことで、生は成立する。
陽光と虚空が対置された段階では、
そこにあるのは二極の張力のみである。
まだ流れは生じない。
月はその二極のあいだに介入する。
月は自ら発光せず、
陽光を反射し、その光を虚空の中に段階的に運ぶ。
この反射の増大と減衰のグラデーションが、
二極のあいだに一方向の流れを生じさせる。
その流れが継続することで、
張力は循環へと転換する。
地球上の生物は、
この流れの中で虚空と陽光の影響を受けながら生きている。
ゆえに本章で「月相の作用」と記すとき、
それは月そのものの力を指すのではない。
陽光と虚空の関係が月相として現れている状態を指す。
月相の構成
月サイクルは、複数の月相によって構成される。
大きく分ければ二つの月相があり、
それが新月相と満月相である。
さらに分節すれば、
そのあいだに上弦相と下弦相が加わり、
四月相となる。
満月相は陽光の影響が最大となる位置であり、
構造が最も顕在化する。
新月相は虚空の影響が最大となる位置であり、
構造が最も潜在化する。
新月から満月へは拡張の流れであり、
虚空優位から陽光優位へと推移する。
満月から新月へは収束の流れであり、
陽光優位から虚空優位へと推移する。
上弦相は拡張流が最も明確になる位置であり、
下弦相は収束流が明確になる位置である。
この四相のあいだにはさらに段階が存在し、
月サイクルは八つの位相へと分節される。
以上が月サイクルの構造である。
しかし構造は、作用を伴ってはじめて現実に現れる。
次に、その各位相における作用の傾向を示す。

八月相
前述の通り、月は陽光と虚空のあいだを調整する媒体である。
その変化は、夜間に届く太陽光量の段階差として現れる。
夜間光量の増減は、自律神経や内分泌系に変調を与え、
睡眠深度や社会的活動性にも影響することが知られている。
以下に示す八月相は、
現象観察と内的体験の反復的確認を通じて整理されたものである。
その推移は、夜間光量の変化に対する生体反応の段階的変調と整合する。
光量が最小へ向かえば内面化が進み、
増加に転じれば覚醒準備が始まり、
中域では活動と負荷耐性が安定し、
最大へ向かえば顕在化が起こる。
ピークを越えれば関係性の処理が増し、
減衰が進めば整理と再統合が働き、
極小へ至ると静的統合を経て再び新たな周期へ移行する。
八月相は、この光量変化に対する生体反応の推移を
段階として言語化したものである。
八月相の性質(月相 × 作用)
■1相目 新月相 ― 再生
光が最小となり、外的刺激が静まる。
意識は内側へ沈み、過去の出来事や感情が再編される。
構造は一度解体され、次の周期のための空白が生まれる。
再生とは、何かを始めることではなく、
不要な形を終わらせ、基盤を静かに更新する段階である。
■2相目 始動
光が増加へ転じる。
まだ形にはならないが、内側で方向性が動き始める。
思考・意図・衝動が微細に立ち上がる。
始動とは、外へ出る前の初動であり、
意識が一点へ向き始める局面である。
■3相目 上弦相 ― 成長
光量が中域へ達し、活動性が安定する。
負荷と伸長が同時に生じる。
試行錯誤、摩擦、修正を通して構造が強度を増す。
成長とは拡大ではなく、
耐久性を獲得する過程である。
■4相目 放出
増大した力が外へ向かう。
内側に蓄積されたものが言語・行動・表現として出始める。
まだ結果ではないが、方向は明確になる。
放出とは、保持していたエネルギーが外部へ流れ始める段階である。
■5相目 満月相 ― 露出
光が最大となり、構造が最も顕在化する。
隠れていた要素が表面化し、結果や反応が見える形で現れる。
露出とは、完成ではなく、
内部構造が外界に照らし出される局面である。
■6相目 交流
最大光量の余波の中で、外界との往来が増す。
他者・環境・情報との接触が活発化する。
構造は単独ではなく、関係性の中で揺さぶられる。
交流とは、露出したものが他と混ざり、反応を受け取る段階である。
■7相目 下弦相 ― 調整
光が減衰し始める。
過剰となった部分が削ぎ落とされ、偏りが修正される。
整理・修復・選別が起こる。
調整とは、拡張の反動を均し、次の収束へ備える局面である。
■8相目 受容
光が再び小さくなる。
出来事や結果を静かに取り込み、内側で統合が進む。
評価や判断よりも、受け止める働きが優位となる。
受容とは、循環の終点であり、
同時に次の再生へ移行する入口である。
八月相の順序
この八月相の並びは、
人間が物事を進めるときの自然な一巡とも一致している。
何かが始まるとき、必ずいきなり表に出るわけではない。
まず静かな内的再構成が起こる。
そののちに小さな動きが生じる。
動きは強度を持ち、成長し、やがて外へ放たれる。
外に出たものは露出し、他者と接触し、関係の中で揺さぶられる。
その結果として調整が起こり、最終的に受容・統合へ向かう。
これは創作でも、仕事でも、人間関係でも、感情処理でも同様である。
思考はまず内で熟す。
やがて静かな動きが生じる。
動きは勢いを持ち、外へと向かう。
外に出たものは他と関わり、
関係の中で摩擦が生じる。
摩擦は整理を促し、
やがて静まりへと向かう。
そして静寂の中から、
また新しい芽が生まれる。
この流れは意図して作られたものではない。
生理的にも心理的にも、自然に起こる一巡である。
月の八相は、
その自然な推移を、夜の光量変化のリズムに沿って
構造として示したものである。
月齢
八月相が月サイクルの大きな推移であるならば、
月齢はその内部をさらに細分した段階である。
八相は八つの位相として区分されるが、
それぞれは静止した点ではない。
各相の内部には、
起点から次の相へ向かう一方向の推移が存在する。
すなわち、
流れは八つに断絶しているのではなく、
各相の内部で連続的に進行している。
この内部の連続的推移を、
観察単位まで分解したものが月齢である。
同一の月齢において、
内的認識の変化と外的出来事の展開に
類似したパターンが反復して観察されている。
この反復性は、
月齢という位置そのものが、
一定の作用傾向を帯びている可能性を示唆する。
以下は、現在検証を進めている
月齢ごとの傾向である。

0–1
始動(発端形成)
0 発生(二日月) : 新しい関係・企画の発生・開始宣言
1 始動(三日月) : 初動・初対面・小さな変化の発見・新たな情報接触
1–5
抽出(選別と決定)
2 試行 : 試し行動・打診や相談・接触・探索
3 観察 : 反応を探る・様子を窺う・状況の確認・区分・整理
4 選択 : 思考・吟味・内的取捨選択・比較・検討
5 決意 : 意思意志・心の決定・覚悟・方向性の確定
6–8
出力(内圧の外化)
6 摩擦 : 現状や制約との衝突・矛盾・負荷・違和感・不整合・不和
7 限界 : 負荷の頂点・耐久点・現状の臨界・変化変更せざるを得ない状況
8 噴出(上弦) : 新たな方向性や意図の顕在化・無為意識な行動変化・深層浮上
9–12
構成(外化後の自己再構築)
9 余波 : 動揺・反動・不安・迷い・自信の揺らぎ・衝動的な行動・短期的な影響
10 制御 : 鎮圧・沈静化・距離が置かれる・自制・客観視・冷却
11 再定義 : 最適化・定義前提価値観の変更・関係や役割の再設定
12 自覚 : 本音や事実の自覚・選択肢の消失・不可逆・自己本心・確信
13–16
顕在化(社会面への展開)
13 展開(小望月) : 動線が出来る・前触れ・兆候・予感・偶然の出来事・未完
14 露出(望月) : 完全可視化・真相・暴露・開示・新情報・秘密が明るみに・未知との遭遇
15 反響(立待月) : 一次感情・反射反応・思考の不在・制御不能・衝撃
16 共鳴(居待月) : 飽和・滲出・波及・接続志向・引力・反復・想起
17–20
相互作用(関係的再配列)
17 疎通(寝待月) : 距離の接近・タイミングの一致・接点が開く
18 交流(更待月) : 意見交換・物理的接触・関係確認
19 再評価 : 判断・関係や状況を測り直す・再考・二次感情への移行
20 調整 : 実務的転換・方針変更・関係の形を変える・運用方法修正・再配置
21–23
入力(本質抽出)
21 確認(下弦) : 試運転・テスト・課題の特定・見極める
22 認識 : 識別・本質の抽出・核心の浮上・要点化する
23 理解 : 把握・知識を得る・知る・答えが出る
24–27
統合(内的再配置)
24 受容 : 妥協点作り・着地点調整・負荷軽減・折り合いをつける
25 適応 : 環境に慣れる・順応する・馴染む・合わせる
26 統合 : 落とし込み・記録・納得する・まとめる・集約させる
27 消去 : 不要物処理・過去の出来事の処理・片付け・決別・環境整理
28–29
終止(空白化)
28 埋設(晦) : 潜在種まき・次の動きの準備・沈降化
29 虚無(朔) : 完全停止・全て閉じる・消失
満月・上弦・下弦などの位置は、実際の天文現象において毎回わずかに変動する。
本区分における月齢の対応は平均的配置を基準とした目安であり、天文暦そのものを示すものではない。
夜間光量の連続的変化を理解しやすい形で区分した観察上の整理である。
したがって、各作用の発現対応月齢には数日の前後が生じうる。
本月齢区分は、日常生活において常に意識する必要はないと考えている。
実際の運用としては、三層世界構造のスケールで捉える程度で十分である。
月齢レベルの細分化は、
流れの本質が見えにくくなったとき、
あるいは出来事の意味を精査する必要が生じたときの補助的な観察単位として位置づけている。
なお、本区分は現在も検証を継続している。
区分の流れそのものは変わらないと見ているが、
各段階の名称や表現は、より精度の高い語が見つかり次第、適宜更新する。
ここまでの記述からも推測できるように、
この上下する一循環は、一年や一月に限らず、
一日という単位の中にも見出すことができる。
しかし、月サイクルの細分化についてはここまでにとどめる。
本章で示した八相および月齢は、
流れを観察可能な単位へと分解したものである。
次に、それらが年構造(三層世界構造)および十九年周期と接続するとき、
どのような立体的構造を成すのかを示す。

螺旋
一年は、上昇期と下降期から成る。
上昇六段、下降六段を経るが、
下降は元の位置へ戻ることを意味しない。
一巡しても到達点は前年より上にある。
一年は円ではなく、
上下を繰り返しながら前へ進む構造である。
その重なりが螺旋を形づくる。
この螺旋の各段階を、月の八相が通過する。
月は再生から受容へと一巡するが、
重なる年の段階によって現れ方は変わる。
同じ再生や露出でも、
上昇期か下降期か、どの層にあるかで内容は異なる。
約29日で巡っても、
常に異なる高さに重なっている。
同じ月齢が訪れても、
同じ作用を繰り返すことはない。
上弦では、その時点で前面にある層が外に現れる。
下降期であれば高次が、上昇期であれば基底が押し出される。
下弦では、外に出た内容が精神で組み替えられ、
下降期では基底へ、上昇期では高次へと向きが定まる。
その現れ方も、重なっている年の段階に依存する。
不可逆性
年は螺旋であり、月はその上に重なる。
八相も月齢も順番は崩れない。
再生の前に露出は来ない。
受容の前に再生は来ない。
選択や停止や逆戻りに見えるものも、 流れの外ではない。
螺旋は常に前へ、そして上へ進む。
ここまで見てきたように、
起きている出来事は偶然ではない。
基底で起こる現実は高次の設計から生じ、
その設計もまた基底を前提として組み直される。
どこからが始まりで、
どこまでが結果なのか。
その設計は、生まれた瞬間から始まっていたのかもしれない。
あるいは、生まれる前から組まれていたのかもしれない。
もしくは、今この瞬間にも書き換わり続けているのかもしれない。

